香りの贈り物

香りを健康維持に活かす

大脳を「新しい皮質」と「古い皮質」で区別した場合、人間の脳の90%以上は「新しい皮質」が占めています。
人間のような高等動物になるに従って新しい皮質が発達し、下等動物は古い皮質が発達しています。
新しい皮質は考えたり記憶をする等の知的活動をつかさどり、人間らしい行動と結びついている脳とも言えます。
一方、古い皮質は大脳辺縁系と呼ばれ、食欲や性欲などの動物と共通した本能に基づく行動 、喜怒哀楽などの情緒行動を支配し、自律機能にも大切な役割を果たしています。
他の視覚や聴覚などが、視床や大脳皮質を経て大脳辺縁系へ到達するのに対し、嗅覚は嗅神経からダイレクトに大脳辺縁系へ入ります。
嗅覚が人間の五感のなかで最も原始的、本能的な感覚なのです。

したがって、香りはダイレクトに感情や本能を支配する脳に作用します。
香りの信号は大脳辺縁系へ到達した後、 視床下部から下垂体(脳下垂体) へと伝わります。
視床下部は 自律神経の最高中枢で、生命活動に欠かすことのできない体温や水分、血圧、睡眠リズム、消化や呼吸など様々な働きの調整を行っています。
さらに、視床下部は自律神経を支配するだけでなく、下にある下垂体という器官とも密接な連携をとって機能しています。下垂体は、さまざまなホルモンを分泌する内分泌系の器官 で、各種ホルモン線のホルモン分泌量や時期をコントロールし、目的とする各臓器に働きかけて生命維持の安定に大きな役割を果たしています。
人間はストレス状態にさらされたり感情的なダメージを受けると、自律神経系である交感神経と副交感神経のバランスを崩したり、内分泌系の乱れが生じることがあります。さらには免疫系にも悪影響を及ぼすことも知られています。
これらのことから、生活の中に香りを上手に取り入れることで、ストレスを緩和し、自律神経・内分泌系器官・ホルモンの分泌を健康に保つことに役立てることができます。

自然の香りの効果

自然の香りの中には森林浴でおなじみのフィトンチッドなど、リラックスさせる働きを持つものがあります。こうした自然の恵みは、通常は余暇の時間に郊外で リフレッシュするにとどまり、日常生活で取り入れることは難しいものです。お好みの香りというのは、体や心が欲している香 りだということです。そしてそれは、本能的な心の奥深くで求めている香りなのです。